ドラッグストア営業収益ランキング(2025年版予測・実績)
業界全体で「売上1兆円」を突破する企業が続出しており、上位陣の顔ぶれは以下の通りです。

注目の再編: ウエルシアHDとツルハHDは、イオン主導による経営統合に向けた動きを加速させています。2025年末から2027年にかけての完全統合が予定されており、実現すれば売上高2兆円を超える世界レベルの巨大チェーンが誕生します
2024年〜2025年の業界動向と成長背景
ドラッグストア業界は2024年度、ついに市場規模10兆円の大台を突破しました。これは、コンビニエンスストア業界に肉薄する規模です。
「フード&ドラッグ」戦略の深化
物価高が続く中、消費者の節約志向が強まりました。ドラッグストアは「食品を客寄せの目玉(低価格)」にし、利益率の高い「医薬品・化粧品」で稼ぐビジネスモデルを強化しています。
- 食品の伸び: 地方を中心に、生鮮食品まで扱う「スーパー化」した店舗が急増。スーパーやコンビニから顧客を奪う形で成長を続けています。
インバウンド需要の完全復活
マツキヨココカラを筆頭に、都市型店舗では訪日外国人による化粧品や医薬品のまとめ買いが爆発的に増加しました。
- 高単価商品の貢献: 免税売上が営業収益と利益率を大きく押し上げる要因となりました。
調剤併設による「ヘルスケア拠点化」
「処方箋受付(調剤)」の強化が顕著です。2024年の診療報酬改定など制度の変化に対応し、単なる小売店ではなく、地域の医療インフラとしての機能を高めることで固定客を囲い込んでいます。
営業収益の伸び率
上位各社は前年比5%〜10%前後の増収を記録。特に「クスリのアオキ」などはM&Aや新規出店、食品スーパーの買収などを通じて10%を超える高い成長率を維持しています。
総括コメント
2024年から2025年にかけての日本のドラッグストア業界は、「量的拡大」から「質と規模の最終決戦」へ移行した1年と言えます。
これまでは出店攻勢による成長が主でしたが、現在はウエルシア×ツルハの統合に見られるように、国内シェアを圧倒的に抑えるための巨大再編がクライマックスを迎えています。今後は、デジタル技術(DX)を活用したOne-to-Oneマーケティングや、配送サービスの強化、さらにはアジア圏への海外進出が各社の勝敗を分ける鍵となるでしょう。
「どこでも同じものが買える」時代から、「その地域で最も安く、かつ医療・食生活までサポートしてくれるインフラ」へと進化した企業が、今後も生き残っていくことになります。
上位5社の「営業収益の伸び」

2026年1月現在の最新データに基づき、上位5社の「営業収益の伸び」と、各社の個性が色濃く出た成長背景について解説します
ウエルシアHD:規模の追求と効率化のフェーズ
- 伸びの評価: 「堅実な微増・現状維持以上」
- コメント: 業界首位を維持していますが、かつてのような爆発的な出店による伸びから、「既存店の収益性向上」と「物流効率化」に軸足が移っています。特にイオン主導でのツルハHDとの経営統合に向けたシステム統合や物流網の共通化が進んでおり、売上そのものの伸びよりも、巨大グループとしての「足腰を固める1年」となりました。
マツキヨココカラ&カンパニー:利益率とインバウンドの覇者
- 伸びの評価: 「高単価・高利益による質の高い成長」
- コメント: 経営統合による仕入れ一本化のスケールメリットが完全に出切った年です。特に都市型店舗での「免税売上」が2024年〜2025年にかけてピークを迎え、化粧品や専売品の販売が営業収益を大きく押し上げました。売上高1兆円を突破しつつ、営業利益率でも他社を圧倒する「効率の良さ」が特徴です。
ツルハHD:再編前夜の安定成長
- 伸びの評価: 「地域密着による安定維持」
- コメント: プライベートブランド(PB)「くらしリズム」の浸透が営業収益の安定に寄与しました。2025年5月期は、物価高の中で安価なPB製品へ顧客が流れたことがプラスに働いています。現在はウエルシアとの統合を控え、不採算店舗の整理やドミナント(集中出店)エリアの再編を行っており、**「次の跳躍のための助走期間」**という印象が強い伸び方です。
コスモス薬品:圧倒的な「安さ」による高成長
- 伸びの評価: 「1兆円突破への猛追・シェア奪取」
- コメント: 上位陣の中で最も勢いがある一社です。2024年〜2025年にかけて「1兆円クラブ」入りを確実にしました。あえてポイントカードを作らず、その分を価格に還元する「毎日安い(EDLP)」戦略が、インフレ下で節約志向を強めた消費者に完全に刺さりました。食品比率が非常に高く、スーパーマーケットから客を奪い続けることで高い増収率を維持しています。
スギHD:医療×DXで独自の伸び
- 伸びの評価: 「二ケタ増収に近い力強い成長」
- コメント: 「調剤併設率」の高さが武器になっています。2024年の報酬改定を追い風に、処方箋応需をフックにしたリピーター確保が成功しました。また、中部圏だけでなく関東・関西、さらにはベトナムなど海外進出も加速させており、「医療サービスを売る」という独自路線で、他社とは異なる角度から営業収益を伸ばしています。
総括コメント:2024-2025の分水嶺
この1年で明確になったのは、「食品を強化してスーパー化する(コスモス・ツルハ)」か、「インバウンドと専門性で稼ぐ(マツキヨ)」かという、二極化された成功パターンの確立です。2026年以降は、ここに「ウエルシア×ツルハ」の統合による圧倒的物量が加わり、中堅以下のドラッグストアにとってはさらに厳しい淘汰の時代に入ると予想されます。
上位5社の営業利益率と利益の「質」
売上規模だけでなく「儲けの仕組み」に注目すると、各社の戦略の違いがより鮮明に見えてきます。2024年度実績から2025年度見通しに基づいた、各社の利益面での特徴を解説します。

各社の利益面に関する詳細コメント
ウエルシアHD:巨大ゆえの「重み」と戦う
営業利益の額は大きいものの、利益率は他社に比べるとやや控えめです。全国展開に伴う物流費や、24時間営業などの人件費負担が利益を圧迫しやすい構造にあります。現在はツルハとの統合を見据え、仕入れ原価の低減(バイイングパワーの強化)による利益率の改善が最大の経営課題となっています。
マツキヨココカラ:業界随一の「稼ぐ力」
利益面では最強の勝者です。利益率の高いプライベートブランド(PB)が売上の10%以上を占め、さらに利益率が極めて高い化粧品のインバウンド需要をがっちり掴んでいます。統合による重複機能の削減も進み、「同じ100円を売っても他社より多く利益を残す」体質が際立っています。
ツルハHD:安定感はあるが、競争激化が懸念
利益率は4%台後半で安定していますが、地盤である地方でコスモス薬品などの低価格勢と激しく競合しています。対抗するための販促費(クーポン等)が利益を削る要因となっており、現在は「不採算店舗の閉鎖」と「PBの強化」で、守りの利益確保に走っている局面です。
コスモス薬品:あえて「低利益率」を選ぶ戦略
3%台という低い利益率は、経営の失敗ではなく「意図的な戦略」です。ポイントカード廃止や現金決済のみ(一部除く)といった徹底したコストカット分をすべて価格(安さ)に還元。利益率は低くても、圧倒的な客数で総利益額を稼ぎ出す「薄利多売の完成形」を追求しています。
スギHD:調剤という「ドル箱」
2024年に大手調剤薬局のI&Hを子会社化したことで、利益構造がさらに強化されました。一般食品などは「集客」と割り切り、利益の多くを専門性の高い「調剤(処方箋)」で稼ぐモデルです。調剤報酬改定の影響を受けやすいリスクはありますが、高齢化社会において非常に堅実な利益体質と言えます。
2025年以降の利益を左右する「3つのキーワード」
- 物流・人件費の増大: 2024年問題以降の運賃上昇と、最低賃金の引き上げが全社の利益をじわじわと蝕んでいます。これを「自動発注」や「セルフレジ」などのDXでどこまで吸収できるかが焦点です。
- PB(プライベートブランド)の成否: 物価高により、ナショナルブランド(メーカー品)よりも利益率の高いPBへのシフトが加速しています。
- 調剤併設の加速: 物販の利益が削られる中、どの企業も「処方箋」という安定した高利益部門への投資を強めています。
「2026年度のドラッグストア業界の予測」
2026年1月現在の最新動向を踏まえ、「2026年度のドラッグストア業界の予測」についてコメントします。
2026年は、単なる売上の奪い合いではなく、「生活インフラとしての地位を固める最終決戦」の年になると予想されます。
2026年の注目トピックと各社の予測
「2兆円巨大連合」の本格始動(ウエルシア × ツルハ)
2026年は、ウエルシアHDとツルハHDがイオン主導で統合を進める「統合プロセス」の佳境です。
- 予測: 両社合わせて売上2兆円を超える規模になりますが、2026年内は「店舗名の統合」よりも「裏側の共通化(物流・システム・PBの統合)」が優先されます。これにより、他社が太刀打ちできないレベルの「圧倒的な仕入れ値の安さ」が実現し始め、利益率が改善に向かうでしょう。
マツキヨココカラの「デジタル・グローバル」加速
- 予測: 国内市場が飽和する中、マツキヨはタイや台湾、ベトナムなどのアジア圏での出店をさらに加速させます。国内では、1.4億人を超えるグループ接点のデータを活用した「パーソナライズ広告」による収益(リテールメディア)が、物販に次ぐ第2の利益の柱として成長する1年になりそうです。
コスモス薬品の「食品スーパー化」による包囲網
- 予測: 2026年も「現金払い・ポイントなし」の低コスト運営を貫き、食品比率がさらに上昇します。特に地方では「ドラッグストア」というより「安売りスーパー+薬」としての認知が完全定着し、既存の地方スーパーの廃業や再編をさらに促す台風の目であり続けるでしょう。
スギHDの「在宅医療」領域での独走
- 予測: 2026年は団塊の世代がすべて75歳以上となる「2025年問題」の直後の年。スギHDが強化してきた「訪問調剤」や「健康データの利活用」が、国の医療費抑制策と合致し、公的なヘルスケア拠点としての収益が拡大すると見られます。
2026年の業界全体・3つのキーワード
① 「13兆円市場」へのカウントダウン
業界全体では10兆円を安定して突破し、次の目標である13兆円(2030年目標)に向けた成長が続きます。ただし、成長の源泉は「出店数」ではなく、「1店舗あたりの食品・調剤の売上アップ」へシフトします。
② 2024年物流問題の「解決策」としてのDX
人件費と物流費の高騰が続く中、2026年は「無人搬送ロボット」や「AI需要予測による自動発注」を本格導入する店舗が一般化します。レジ待ちゼロの「ウォークスルー決済」を導入した実験店舗が、都市部から順次増えていくでしょう。
③ 「スーパー・コンビニ」との境界線の消失
「ドラッグストアで生鮮食品や惣菜を買う」ことが当たり前になり、スーパーとの境界線がほぼなくなります。消費者は「生鮮はスーパー、日用品はドラッグストア」と分けるのではなく、「一番近くて安い一カ所で済ませる」というタイパ(タイムパフォーマンス)重視の行動をさらに強めます。
総括:2026年の勝ち組の条件
2026年に笑っているのは、「安いだけ」でも「薬があるだけ」でもない企業です。
「地域の健康を守るクリニック(調剤)」「毎日の食卓を支えるスーパー(食品)」「スマホで完結する利便性(デジタル)」
これら3つを高い次元で融合させた企業が、10兆円市場のパイを独占していくことになります。
「独自のビジネスモデル」で猛烈な勢いで成長している注目企業
上位5社の「巨大チェーン」が業界を牽引する一方で、現在「独自のビジネスモデル」で猛烈な勢いで成長している注目企業を3つピックアップして解説します。
これらの企業は、大手と競合しつつも、特定の領域や地域で圧倒的な支持を得て「営業収益」を大きく伸ばしています。
クスリのアオキホールディングス:スピードと「食」の融合
- 成長の勢い: 2026年5月期の目標(売上5,000億円)を1年前倒しで達成。
- 伸びの背景: 最大の武器は**「ドラッグストアのスーパー化」です。生鮮食品や惣菜を強化するため、地方の老舗スーパーを次々と買収し、そのノウハウを自社店舗に注入しています。「アオキに行けば夕飯の材料も揃う」という利便性で主婦層をがっちり掴み、地方郊外を中心に店舗数を爆発的に増やしています。2025年にはついに1,000店舗の大台**を突破しました。
Genky DrugStores(ゲンキー):徹底した「安さ」と「効率」
- 成長の勢い: 営業収益は前期比10%超の伸びを継続中。
- 伸びの背景: 福井県を拠点に「300坪〜450坪」の標準化された店舗をドミナント(集中)出店しています。徹底したEDLP(エブリデイ・ロープライス)戦略をとり、広告費を削って「地域で一番安い」状態を維持。また、生鮮三品(肉・魚・野菜)の導入を加速させており、スーパーマーケットのシェアを奪う形で北陸・中部圏での支配力を強めています。
スギホールディングス:M&Aによる「規模」と「医療」の掛け合わせ
- 成長の勢い: 直近の営業収益伸び率は17%超と、上位陣の中で突出。
- 伸びの背景: 自社での新規出店に加え、大型M&Aを成功させていることが大きな要因です。2024年に大手調剤チェーンの「I&H(阪神調剤)」をグループ化したことで、一気に売上高と専門性を底上げしました。単なる小売店としての成長だけでなく、「訪問看護」や「在宅医療」など、高齢化社会を見据えた「医療サービス企業」への転換が、高い収益成長を支えています。
成長企業の共通ポイント
急成長している企業には、共通する「勝ちパターン」が見られます。
- 「スーパーマーケット」からの顧客強奪: 医薬品だけでなく、精肉や野菜などの生鮮食品を強化し、消費者の「ついで買い」ではなく「メインの買い物先」としての地位を確立しています。
- 徹底的な「効率化」: Genkyのように店舗の設計を完全に同じにする(標準化)、あるいはアオキのようにITによる在庫管理を徹底することで、低い粗利率でも利益を出せる体質を作っています。
- 「調剤」の収益化: 薬価改定などの逆風はありますが、処方箋を受け付けることで安定した利益(ストック収益)を確保し、物販の値下げ原資に回しています。
まとめ:2026年の注目
これらの「成長株」が、今後ウエルシアやマツキヨといった「1兆円超えの巨人」に対して、地方市場でどのように挑んでいくかが2026年の最大の見どころです。


コメント