はじめに:なぜベルクは「使いやすい」のか?
関東を中心に展開する地域密着型スーパー、ベルク。赤い看板と「Better Life with Community」のスローガンでおなじみの同社は、私たちの日常生活に欠かせない存在となっています。
近年、スーパー業界は価格競争の激化や原材料費の高騰など、厳しい環境に直面していますが、ベルクは安定した成長を続けています。この安定感の背景には、どのような戦略と強みがあるのでしょうか。
本記事では、過去5年間の業績推移から、2030年を見据えた中期経営計画、そして私たちが日々感じるベルクの魅力までを分析し、その成長の秘密と未来像をわかりやすく解説します。
1. 安定から力強い成長へ!


驚異の成長率:5年間で売上36%、利益42%増
この5年間でベルクは、
- 営業収益は2,844億円から3,877億円へ、約36.3%の増収を達成
- 営業利益は119億円から170億円へ、約42.6%の増益を達成しました
非常に安定した成長を続けていることがわかります。
注目すべきは直近の伸長
特に注目すべきは、2025年2月期の業績です。
- 営業収益は対前期比10%超の伸び。
- 営業利益は対前期比17%超の伸び。
コスト増の影響で一時的に利益率が低下した2024年期から一転、2025年期には過去最高の営業利益額を記録し、力強い回復と成長を示しました。
安定した収益性:4%台の営業利益率

営業利益率は4.2%から4.6%の間で安定的に推移しています。これは、「低価格戦略」と「効率的な店舗運営」のバランスが取れている証拠です。スーパー業界では、低価格競争が利益率を圧迫しがちですが、ベルクは効率化やコストコントロールにより、高い水準を維持しています。
また、2026年2月期も増収増益のトレンドを維持する計画であり、今後の成長にも期待が持てます。
2. 2030年へ向けた成長戦略:中期経営計画を深掘り
ベルクは、2024年4月に2030年2月期をターゲットとした新たな中期経営計画を公表しました。単なる既存店の強化に留まらず、未来のベルクの姿を決定づける具体的な目標と戦略が打ち出されています。
達成目標:売上5,000億円、店舗数180店以上
中期経営計画の核となるのは、以下の野心的な数値目標です。
5,000億円という売上目標は、2025年期の約3,877億円からさらに約1,100億円以上の上乗せを目指すことを意味します。この成長を牽引するのが、次の4つの戦略の柱です。
4本の戦略の柱
- 商品戦略:唯一無二の商品提供
- PB(プライベートブランド)「クラベルク」の拡充や、自社で加工・調理する生鮮食品・惣菜のさらなる強化を通じて、「ベルクならでは」の価値を提供し、顧客ロイヤリティを高めます。
- 出店戦略(成長戦略):年間6~8店舗の安定出店
- 関東全域を対象に、年間6〜8店舗程度の新規出店を安定的に実施する計画です。
- 標準化された店舗フォーマットを活用することで、出店・運営の効率を最大化しながら、ネットワークの拡大を図ります。
- DX × 人材戦略:デジタル投資と働き方改革
- デジタル投資を強化し、業務効率化、販促、物流、発注の最適化を図り、経営の合理化を進めます。
- 同時に、人的資本への投資も重視。働き続けられる職場環境作りや健康経営を推進し、男性育休取得率100%、女性管理職比率10%といった意欲的な目標を掲げ、従業員エンゲージメントを高めます。
- サステナビリティ戦略:地域インフラとしての役割
- 地域インフラとして持続可能な社会に貢献するため、廃棄物削減(データに基づいた発注最適化)、環境配慮型設備(自然冷媒導入など)、気候変動対応に取り組みます。
2026年2月期 第2四半期(中間期)の進捗状況
2025年10月14日公表された2026年2月期 第2四半期(中間期)の連結決算短信に基づき、中長期計画に対する直近の進捗を見てみましょう。
-
第1四半期(Q1)
期間:2025/3/1〜2025/5/31(短信に明記の累計期間)。 -
第2四半期(Q2)
累計期間:2025/3/1〜2025/8/31(短信に明記)
2026年2月期 第1・第2四半期 連結業績総括コメント
株式会社ベルクの2026年2月期中間期(3月〜8月)の連結業績は、「増収減益」という形になり、力強い売上拡大の勢いと、利益率確保の難しさが同時に現れる結果となりました。
1. 営業収益(売上)に関する総評:二桁成長を達成

- 強い増収基調: 営業収益は前年同期比で11.3%増と、二桁の伸びを達成し、売上拡大の勢いは非常に強力です。通期予想(4,141億円)に対しても順調に進捗しています。
- 増収の要因:
- 既存店の好調: 既存店売上高が106.6%と高い伸びを示しており、低価格戦略と販促活動が顧客に支持され、集客と客単価向上に寄与しました。
- 積極的な出店: 新規に4店舗を出店したことが、チェーン全体の売上を押し上げました。
2. 営業利益に関する総評:利益率の維持が課題

- 減益に転じる: 営業利益は88億84百万円となり、増収にもかかわらず前年同期比で1.7%の減益となりました。
- 利益圧迫の要因:
- 売上総利益率の低下: 商品の仕入価格が高騰する一方で、競争力を維持するために低価格戦略を堅持した結果、売上総利益率が前年同期比で0.6ポイント低下し、利益を圧迫しました。
- 販管費はコントロール: 一方で、賃金上昇があったにもかかわらず、販管費は売上高に対する比率で改善しており、効率的な店舗運営努力が見られますが、粗利率の低下を補うには至りませんでした。
3. 今後の見通しと経営の焦点
中間期の業績は「増収の成功」と「増益への挑戦」という状況を明確に示しています。
会社としては計画通りに進捗しているものの、利益率確保が最大の課題と認識されています。下期に向けては、この強い売上拡大の勢いを維持しつつ、店舗ごとの価格政策を見直し、収益性の回復を図る方針が示されており、通期の営業利益目標(180億91百万円、前年比6.4%増)の達成に向けて、収益性の改善に注力していくことになります。
成長を支える基盤整備
戦略の実現に向け、具体的に「工場増設による商品供給体制の強化」や、既存店舗の「リニューアル・活性化」も並行して進めることで、攻めと守りの両面から成長基盤を固めています。
-
店舗別の価格政策見直しで、競争力を保ちつつ収益性確保へ。
-
標準化オペ×省力化の徹底で販管費率の抑制継続。
3. なぜ選ばれる?ベルクが提供する「5つの便益」
ベルクが安定成長を続け、中期経営計画に自信を持つ背景には、私たちが消費者として日々享受している「使いやすさ」があります。
1. 「低価格×品質」の絶妙なバランス(価格面)
- ディスカウント志向:毎日の買い物で家計を助ける低価格帯の商品群。
- プライベートブランド(PB):「トップバリュ」なども活用し、ナショナルブランドよりも安価で購入できる選択肢を提供。
2. 生鮮食品と惣菜の「強み」(商品面)
- 鮮度へのこだわり:青果、精肉、鮮魚、惣菜を自社で加工・販売することで、高い鮮度を維持。
- 「手作り感・ボリューム感」:特に惣菜は、時短ニーズに応えつつも満足度の高いラインナップが強み。
3. 車社会に強い「利便性」(アクセス面)
- 郊外立地と大型駐車場:クルマでの来店を前提とした設計で、まとめ買いをするファミリー層に最適。
- 長い営業時間:朝9時から深夜0時近くまで営業する店舗が多く、共働き世帯の「夜の買い物ニーズ」にしっかり対応。
4. 快適な買い物環境(サービス面)
- 清潔で明るい売場:快適性を重視した店舗デザイン。
- セルフレジ・キャッシュレス対応:買い物スピードを重視する現代のニーズに対応。
5. 地域社会への適合(ライフスタイル)
- 地域対応型品揃え:地域に合った商品を取り揃える柔軟性。
- 時短・簡便ニーズ対応:カット野菜や調理済み食品など、忙しい生活をサポートする商品群の強化。
まとめると、ベルクは「低価格 × 高鮮度 × 利便性(駐車場・長時間営業)」という3つの柱を確立し、車社会の郊外生活者、共働き・子育て世帯にとっての“日常生活を支える使いやすいスーパー”としての地位を盤石にしていると言えるでしょう。
4. まとめ:ベルクの未来は明るい
ベルクは、過去5年間で安定的に売上と利益を伸ばし、特に直近ではその成長を加速させています。
そして、この実績を土台に、「店舗数の拡大」、「商品力の強化」、「DXによる効率化」、「人材への投資」という多角的な戦略を掲げ、2030年の売上5,000億円を目指しています。
消費者としては、この成長戦略が実現することで、より一層「安くて、便利で、高品質」なベルクを利用できる未来が期待できます。今後のベルクの動向に、引き続き注目していきましょう。


コメント