11月のスーパーマーケット重点施策 ― 和から洋への転換と年末商戦への助走 ―

販促関係

11月は、スーパーマーケットにとって年間の業績を左右する極めて重要な月です。前半は七五三や秋の味覚といった「和」の需要が中心ですが、中旬にはボジョレーヌーヴォー解禁、下旬にはブラックフライデーと、売場は「洋風」「年末モード」へと大きく舵を切ります。さらに気温の低下に伴い鍋需要が本格化し、季節商品とイベント需要が交錯するこの時期は、12月商戦の成否を左右する「仕込みの月」とも言えるでしょう。

 11月の週別アクションカレンダー

  • 第44週(10/28〜11/3):鍋メニュー本格展開、煮込み・シチュー訴求。

  • 第45週(11/4〜11/10):七五三祝い膳提案、お歳暮ギフト開始。

  • 第46週(11/11〜11/17):ボジョレーヌーヴォー解禁、ワイン関連惣菜と冬の旬魚介を特売。

  • 第47週(11/18〜11/24):ブラックフライデー、大容量商品・ストック需要訴求。クリスマス・おせち予約促進。

  • 第48週(11/25〜12/1):年末準備商材(塩干、豆類、大掃除用品)展開。

1. 11月前半:七五三と秋の味覚で「和」の需要を押さえる

七五三需要の取り込み

11月15日前後は七五三の祝い需要がピークを迎えます。家族での外食を控え、自宅で祝うケースも増加傾向にあるため、寿司盛合せ、豪華オードブル、ケーキ、果物などの需要が高まります。特に「りんご」「ぶどう」「柿」は祝いの象徴として売場の演出効果が高く、季節感とお祝い感を同時に打ち出せます。
売場では「ハレの日メニュー特集」「七五三祝いフェア」と銘打ち、予約提案と当日即応型の両輪で需要を取り込みましょう。

秋の味覚と鍋需要

11月は秋鮭、きのこ、さつまいもといった秋の味覚が引き続き動きます。さらに木枯らしや初霜の訪れとともに最低気温が10℃を下回り、「鍋シーズン」が一気に到来します。白菜、長ねぎ、きのこ、豆腐、鍋つゆ、ポン酢をクロスMDで展開し、「家族鍋セット」として提案するのが効果的です。
2025年は例年より気温低下が早い予測も出ており、鍋商材の前倒し展開が売上の取りこぼし防止につながります。

2. 11月中旬:ボジョレーヌーヴォー解禁と「洋」への転換

ワイン需要と売場の変貌

11月第3木曜日のボジョレーヌーヴォー解禁は、売場が「和」から「洋」へ転換する節目となります。ワイン売場を拡充すると同時に、チーズ、生ハム、パテ、洋風惣菜の関連販売を強化することが必須です。

惣菜部門との連動

解禁週の週末は「ワイン×チーズ×洋風惣菜」が好調。ローストビーフ、チキンステーキ、アヒージョ、グラタンといったメニューの人気が高まります。惣菜部門と酒類売場を連動させたレイアウトは、買い回り促進に大きな効果を発揮します。

「和から洋」への戦略的切り替え

七五三や和惣菜主体の売場から、ワインと洋風メニュー主体の売場へ切り替えることが、クリスマス・年末商戦への布石となります。ここで洋風需要をうまく醸成できるかどうかが、12月の盛り上がりを大きく左右します。

3. 11月下旬:ブラックフライデーと年末商戦の助走

ブラックフライデーの浸透

11月下旬最大のイベントはブラックフライデーです。日本でも認知度が高まり、大手GMSやSMが大規模セールを展開。食品では冷凍食品、飲料、日配品、菓子、大容量商品など「ストック需要」「まとめ買い」が好調に推移します。ケース販売やセット販売で、客単価アップを狙いましょう。

年末商戦への接続

ブラックフライデーは同時に、12月商戦の幕開けでもあります。ローストチキン用の骨付きもも肉、ローストビーフ用ブロック肉、ピザやグラタンといった洋風商材を積極的に展開し、年末需要を前倒しで取り込みます。ここで家庭に洋風メニューを浸透させることが、クリスマス・年末商戦を成功に導くカギとなります。

気温要因とのバランス

一方で寒さが強まれば鍋需要も引き続き旺盛です。11月後半は「ワインに合う洋風オードブル」と「家族鍋セット」を両立展開し、幅広い顧客ニーズに応えられる売場づくりが重要です。

4. 年末商戦に向けた早期仕込みと予約強化

11月は年末商戦の成果を決める仕込みの時期です。特に以下の施策が重要です。

  • お歳暮ギフトの早期予約:食品ギフトや酒類を中心に早期割引・特典を設け、予約率を高める。

  • クリスマス・おせちの予約促進:ケーキ、惣菜、おせちの予約受け付けを11月中旬から本格化。試食会や展示を活用して購買を後押し。

  • 売場演出の前倒し:中旬から店内をクリスマス装飾に切り替え、菓子・オーナメント・ラッピング提案を強化。購買意欲を刺激する演出で客単価アップを図ります。

まとめ:11月は「年間業績を決める月」

11月の重点施策は大きく3点に集約されます。

  1. 鍋とあったかメニューで日常需要を押さえる

  2. ブラックフライデーでまとめ買い・高額品を動かす

  3. お歳暮・クリスマス・おせちの予約を前倒しで強化する

11月を単なる季節の変わり目と捉えるのではなく、年末商戦の前哨戦として戦略的に乗り切ることが重要です。気温の低下とイベントを商機に変え、「和から洋へ」「イベントから年末へ」の流れをスムーズにつなげること――それが11月のスーパーマーケット経営における最大のテーマであり、年間業績を決定づける勝負所なのです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました