2025年10月10日 株式会社フジは2026年第2四半期の決算短信を開示しました
2024年 主要な業態から見る商業販売額
図のタイトル: 2024年 主要な業態から見る商業販売額
出典: 経済産業省「商業動態統計」から作成
日本の小売業界は、「コンビニ」「総合スーパー(GMS)」「食品スーパー(SM)」「ディスカウントストア」などに分けられます。
その中でも食品スーパー(SM)は、売上構成が多い分野となります
スーパーマーケットの中で西日本エリアで大きな存在感を持っているのが株式会社フジです。
本社は広島県広島市。中国・四国地方を中心に「フジ」「フジグラン」「マックスバリュ」「マルナカ」「ザ・ビッグ」などの店舗を展開しています。
売上高は約7,800億円規模(2024年度実績)で、SM業界では国内トップクラスに入ります。
フジはイオングループの一員
フジはもともと地域スーパーとして発展してきましたが、現在はイオングループに属しています。
フジは2018年以降にマックスバリュ西日本と資本業務提携を深め、2022年3月1日に両社が“共同持株会社(社名:株式会社フジ)”の傘下に入る形で経営統合、2024年3月にマックスバリュ西日本と経営統合し、中国・四国・兵庫エリアの10県にわたり約510店舗以上を展開する大きな企業になりました
フジの目標(2030年までに売上1兆円)
フジは2024年度からの中期経営計画で、大きな目標を掲げました。
つまり、今後数年で「売上規模をさらに拡大しつつ、利益をしっかり確保できる体質」へ変えていこうとしているのです。
最近の業績推移
実際の業績の流れを見てみましょう。
2030年 売上高1兆円を目標
2030年 営業利益290億円を目標(営業利益率目標3%)
営業利益率推移 約2%を推移 2030年は3%を目標
数字だけ見ると「売上は順調に伸びているけど、利益はまだ控えめ」という印象です。
売上(営業収益)は、前年を上回り順調に伸びています 。
しかし、利益(営業利益)は、積極的に社員の賃上げをしたり、店舗改装に費用をかけたり、電気代(光熱費)が増えたことなどから、一時的に減少しています
3つの基本戦略
フジは中長期計画として2030年までに売上高1兆円を目標に掲げ、目標達成のため以下の3つの基本戦略を推進しています。
- 企業文化の確立:「お客さま第一」「現場主義」の浸透や、ノウハウ・強みの相互活用による多様性を尊重する風土づくり。
- 既存事業の改革:既存店の刷新、移動スーパーやEC、無人店舗などのノンストア事業の推進、業務のDXによる省人化・自動化。
- 事業インフラの統合とシナジー創出:MD(マーチャンダイジング)の統合、顧客ID活用によるマーケティング高度化、物流システムの統合など。
特に、既存事業の改革では、2024〜2026年度の3カ年で150店舗の活性化・S&B(スクラップ&ビルド)を計画しています。また、プライベートブランド(PB)の比率を2022年度の9.3%から2026年度には15%へと拡大する方針です。
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2025年2月期 決算説明会資料では、PB売上が前年比122.0%・113.9%・116.2%と継続的に成長。
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2026年2月期 第2四半期資料では、PB売上が前年比141.9%と大幅伸長し、トップバリュの売上構成比は9.5%に到達。
2026年2月期 第2四半期(中間期)の進捗状況
2025年10月10日公表された2026年2月期 第2四半期(中間期)の連結決算短信に基づき、中長期計画に対する直近の進捗を見てみましょう。
連結経営成績(中間期累計:2025年3月1日~2025年8月31日)
営業収益(売上高)
営業収益は通期予想通りの進捗率を推移。
営業利益
営業利益は、積極的な賃上げや店舗投資の継続、電力単価上昇による水道光熱費の増加などにより、通期予想(営業利益155億円)に対する進捗率は29.0%と、厳しい状況に置かれています。
お客様から見た便益
- お財布に優しい」商品の充実
- イオングループの一員なので、仕入れのスケールメリットを活かし、リーズナブルで質の高い商品を提供してくれます。
- 特に、イオングループのプライベートブランド「トップバリュ」や、ディスカウントストア業態の「ザ・ビッグ」専用PB商品を積極的に増やしており、物価高の中でも節約したい私たちの暮らしを応援してくれます 。
- 「圧倒的な安心と便利さ」の追求
- 「フジ」「マルナカ」「マックスバリュ」など、さまざまな屋号がありますが、共通して「お客さま第一」を大切にしています。
- 2024年7月からは、イオングループ共通のポイントである「WAON POINT」がフジの店舗でも利用できるようになり、お買い物がますます便利になりました
- 「暮らしに寄り添う」サービス
- お店に行きにくい過疎地域や団地のお客さまのために、移動スーパー「おまかせくん」を積極的に展開しています 。
- 店舗改装(活性化)では、すぐに食べられるお惣菜(即食・簡便商品)の品揃えを増やしたり、セルフレジを拡充したりと、忙しい現代のニーズに合わせた快適なお買い物体験を提供してくれます 。
フジの目標は、「お客さまと従業員の圧倒的な安心とワクワクを実現し、最も地域に貢献する企業集団になること」です 。
フジは、厳しい小売市場の中で、地域密着の強みを活かしつつ、イオングループとのシナジーとDX・店舗投資によって収益構造を改革し、2030年の売上1兆円という大きな目標に挑んでいます。








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