忙しい現代に冷凍コーナーが広がるのは必然

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1. 導入:冷凍食品コーナーはなぜ広がるのか

スーパーで「冷凍食品コーナーが広がった」と感じる人も多いはずです。
実際、2023年の日本の冷凍食品市場の金額ベース合計は1兆2,472億円(国内生産額+冷凍野菜輸入額+調理冷凍食品輸入額)まで拡大しています(2016年:9,894億円 → 2023年:1兆2,472億円)。→ グラフ①参照。

さらに、市場調査の富士経済は2024年の冷凍食品市場を1兆3,617億円(前年比4.4%増)と発表。ブームではなく“基盤”になりつつあることが数字からも見て取れます。

[グラフ①]冷凍食品市場規模の推移(2016–2023年)


2. 背景:社会が後押しする冷凍ブーム

冷凍食品の需要を押し上げている背景には、私たちの生活様式の変化があります。

  • 共働き・一人暮らしの増加 → 調理時間の制約

  • 物価上昇と節約志向 → 外食から家庭内へシフト

  • 冷凍技術の進化 → 「冷凍でもおいしい」の実現

  • コロナ禍の影響 → まとめ買い・保存ニーズの定着

結果として、冷凍食品は「保存食」から「主力商品」へと進化しました。


3. 冷凍庫の拡充が需要を支える

需要拡大を裏で支えるのが 家庭の冷凍庫事情 です。

  • 冷凍庫容量を「不足」と感じる人は、男女とも約35%

[グラフ②]冷凍庫容量を「不足」と感じる割合(2023年調査)

  • 冷凍庫に占める市販冷凍食品の割合は、女性3.5割、男性4.2割

[グラフ③]冷凍庫に占める市販冷凍食品の割合(2023年調査)

👉 このデータは、冷凍庫の中で「市販冷凍食品」が確実に大きな存在感を持っていることを示しています。
しかも男女で比べると、男性のほうが市販冷凍食品への依存度が高い(=自炊や下ごしらえより“買った冷凍食品を使う”傾向が強い)ことが見て取れます。

  • さらに、セカンド冷凍庫を持つ世帯は約14%(2022年)

[グラフ④]セカンド冷凍庫の保有率(2022年調査)

「もっとストックしたい」というニーズが、家電の選び方やライフスタイルをも変えているのです。


4. 消費者心理:なぜ選ばれるのか?

数字の裏側には、生活者の“心の動き”があります。

  • 失敗しない安心感
    例:冷凍炒飯はレンチンするだけで安定した味。「今日は味付け失敗しないかな」という不安がない。

  • ストックできる便利さ
    例:冷凍野菜を常備すれば、野菜が高い時期でも安心。味噌汁や炒め物にサッと使えて“あと一品”に便利。

  • コスパとタイパの両立
    例:夜遅く帰宅しても冷凍パスタなら5分で完成。洗い物も少なく、外食より安上がり。

  • ちょっとした贅沢
    例:専門店監修の唐揚げや冷凍スイーツは“プチご褒美”。手軽に買える満足感が人気。

冷凍食品は「節約」だけでなく「安心」と「満足」を同時に満たす存在です。


5. 事例:各社の冷凍戦略

  • イオン「@FROZEN」:冷凍食品専門店を出店し、“目的買い”を促す。

画像提供:イオン株式会社(PR TIMES)

イオンは日本最大級の冷凍食品専門店「@FROZEN」を展開。
約1,500品目を取り揃え、一般スーパーの冷凍棚とは一線を画す“専門店体験”を提供しています。
「目的買い」を前提とした売場設計により、日常使いだけでなく“冷凍食品の新しい発見”を促しているのが特徴です。

  • セブン‐イレブン:個食冷凍惣菜を拡充し、一人暮らしやシニア層に浸透。

セブンプレミアム ゴールド「金のマルゲリータ」商品パッケージ
画像提供:株式会社セブン‐イレブン・ジャパン(PR TIMES)

セブン‐イレブンは「セブンプレミアム ゴールド」などの冷凍ラインを強化。
パスタや炒飯などの個食パック冷凍惣菜が、一人暮らしやシニア層に支持されています。
“少量でも満足”“すぐに食べられる”というニーズを的確に押さえ、冷凍惣菜の地位をコンビニ市場で確立しました。

  • ライフ「ビオラル冷凍」:オーガニック志向や低糖質志向に対応するPB展開

BIO-RAL(ライフ) 冷凍スープ パッケージイメージ
画像提供:株式会社ライフコーポレーション(atpress プレスリリース素材より)

ライフはオーガニック志向のプライベートブランド「BIO-RAL」シリーズを冷凍でも展開。
無添加スープや低糖質ミールなど、健康×便利を両立したラインナップが特徴です。
“健康を意識しながらも、手軽に利用できる”という消費者心理を取り込む戦略で、差別化を図っています。


6. 考察:冷凍食品は“時代の鏡”

 

  • 社会の変化(共働き・物価高・技術進化・コロナ禍)

  • 消費者心理(節約・安心・時短・プチ贅沢)

この両輪が重なり、冷凍食品は「暮らしの主役」に躍り出ました。市場規模も2016年から2023年で 約26%拡大 しており、社会トレンドと完全に連動しています。


7. まとめ:賢く使えば家計も暮らしも豊かに

  • 外食費を抑えて家計にプラス

  • 食材ロスを防ぎ無駄を減らす

  • 調理・片付け時間を短縮し余裕を作る

冷凍食品は、単なる“便利な時短アイテム”ではなく、生活を戦略的に豊かにする選択肢です。


主要出典

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